福島県のイノシシ食害問題【更新 : 2021年7月26日】 ▼裏磐梯野鳥の森のミズバショウがイノシシに食べられる;2021年7月16日、裏磐梯野鳥の森のミズバショウがイノシシに食害されたのを確認しました。ミズバショウ群落の中を歩くイノシシ2頭も確認。現在通行止めになっている木道の辺りでイノシシがミズバショウの根を食べた跡が約10株確認できたが、林の奥は藪で見えないため、実際はもっとたくさん被害に遭っていると考えられます。 ▼イノシシがスキー場のゲレンデを荒らす;2021年7月16日、北塩原村の裏磐梯スキー場でイノシシの食痕を確認した。ゲレンデの一部が掘り起こされてでこぼこにされていた。 ▼会津地方で越冬するイノシシが増加;福島民友新聞によると、2月20日、会津若松市一箕町松長で70歳男性がイノシシに手をかまれた。「自然観察の会ふくしま」には、南会津町や喜多方市や猪苗代町などで冬にイノシシを目撃したという情報が多数寄せられている。南会津町に住む掃部千鶴さんによると、十年前からイノシシが冬も見られるようになったという。2019年11月には山形県の県民の森(東村山郡山辺町畑谷)でイノシシの食痕が見つかった(横田、写真右)。イノシシの分布拡大、北上は勢いが止まらない。 ▼ミズバショウを守れ、馬入新田に電気柵設置(2020.7.3撮影);郡山市はミズバショウ群生地の馬入新田に電気柵を設置した。昨年の6月頃、約300株のミズバショウがイノシシの食害に遭った。今年は電気柵が功を奏して食害はほぼ無かった。写真右は2020年4月24日に撮影した群生地の様子。 ▼中山風穴のアヤメ群生地、イノシシに掘り返される(2020.6.6撮影);下郷町の中山風穴でイノシシがアヤメ群生地に侵入し、土を掘り返してミミズ等を食べた跡が見つかった。アヤメ群生地の三分の一が被害に遭った。写真右は被害を免れたアヤメ。 ▼イノシシに荒らされ、観音沼の浮島がピンチ(2020.6.6撮影);下郷町の観音沼でイノシシが浮島に侵入し、サギスゲやミツガシワ等の植物を踏み荒らして枯らし、浮島の裸地化が進んでいる。イノシシは水深が浅いところから浮島に上陸した足跡が多数見つかった。写真右は辛うじて被害を免れたサギスゲ。 ▼裏磐梯五色沼にイノシシ進出、湿地を破壊する(2019年8月10日撮影);以前は生息していなかったイノシシが裏磐梯五色沼(毘沙門沼)の特別保護地区に入り込み、湿地の植物をひっくり返すなどしてえさを探し、植生を破壊している。被害に遭っている植物はノビネチドリ、オオヤマサギソウ、ベニバナイチヤクソウ、カキツバタ(写真右)、ヤマユリ、アケボノソウ、ミズゴケ類など。付近には絶滅危惧種のオオアカバナも自生している。 ▼郡山市湖南町のミズバショウ群生地「馬入新田」がイノシシの食害に遭いました。(2019.7.19撮影);馬入新田の水芭蕉は標高500mほどの低地に群生して珍しく、郡山市の天然記念物に指定されている。猪による食害は目視確認で約300株、全体の20%程度ですが、今後さらに被害が進むことが予想されます。 ▼福島市土湯の「きぼっこの森」で、ミズバショウがイノシシに食害され、ほぼ全滅。;写真左は2019年4月23日撮影。写真右は同年8月2日に同じ場所で撮影、ミズバショウが全滅した。 ■ナチュラリスト横田清美事務所 |